さて続いては、広島県・福山チームのリーダー:藤井 佳奈さんです。
前編(姫路チームリーダー:たけちゃんの記事)を読んでない方は、
まずコチラをご覧ください▶︎https://www.greenbird.jp/blog/21451/
日本には200万人をこえる車椅子ユーザーがいます。生まれつき足が不自由な先天的の方と、病気や事故による後天的な方と大きく2つに分かれますが、佳奈さんは後者になります。
今から11年前の2014年。仕事からの帰宅途中に佳奈さんは交通事故に遭いました。
頚椎損傷をはじめ重傷を負い、病院の天井を見つめることしかできない。自宅には小学6年生の娘が1人(佳奈さんはシングルマザーで娘さんと2人暮らし)事故から2週間後にようやく会えた娘さんを抱きしめることはできない(当時は顔しか動かせない状態のため)
そんな絶望の中、娘の小学校の卒業式に出たいという一心で、過酷なリハビリに挑みます。何度も諦めそうになっても、娘さんと再び一緒に暮らせる日々に戻るために、這い上がったのです。
たくさんの人に支えられ、佳奈さんは娘さんの卒業式に出席することができました。事故以来、初めて外出できた日のこと。車椅子を押してくれる娘に、佳奈さんは思わず「こんな姿の私と歩いていて、恥ずかしくない?」と問いかけたそうです。
すると娘さんは即座に、「母ちゃんはかっこいい!誇らしいよ!」と力強く答えました。その言葉に背中を押され、佳奈さんの中で長くくすぶっていた迷いが吹き飛びました。「できないことを数えるより、できることを数えよう」――そう思えるようになったのです
そんな一人娘の莉子さん。実はアメリカ・コスタメサチームの初代リーダーなのです。高校生の頃、岡山チームに参加した経験があり、留学先のアメリカで「街をキレイにするだけでなく、大学や地域に繋がりをつくりたい」という想いを抱き、異国の地でグリーンバードのチームを立ち上げました。
そんな莉子さんの姿を見て、佳奈さんは「私にもごみ拾い、ボランティアができないか」と。
莉子さんの一時帰国中に岡山チームに一緒に参加。実際に参加して思ったことは、自分の住む福山の街でも広げたい。車椅子をはじめ障害を理由に諦めている人たちに「自分にでもできる!」と一歩を踏み出すきっかけをつくりたい。
こうしてグリーンバードの歴史上、初となる車椅子ユーザーのリーダーが誕生。2023年に福山チームがスタートしました。設立以来、福山チームには佳奈さんだけでなくたくさんの車椅子の方が参加してくれています。
その中でも印象的だったのが、この写真の2人の女性。
左側の女性は、佐伯 綾香さん。福山チームの活動をSNSで見かけて「楽しそう!」と参加してくれた方です。ごみ拾いを通じた様々な人との繋がり、出会いが面白く、現在も継続して参加してくれています。
右側の女性は、宇田 百花さん。友人に誘われて参加したごみ拾い。車椅子の自分でも社会に貢献することができた!と活動中も明るく他の参加者と交流し、活動後のスタンプカードを押す役割を担ってくれるなど、新しいことに積極的に挑戦してくれています。
最後にたけちゃんと同様に、佳奈さんにもこの質問を。
「あなたにとって、ごみ拾いとは?」
「つながりから生まれる、共に生きる未来」
その言葉を体現するように彼女がチーム設立時に思い描いていた理想の風景が、この写真には映し出されています。
「車椅子だから」と特別扱いするのでもなく、過度にケアするのでもなく。例えば道路の段差でつまずきそうになったとき、近くの人が自然に手を差し伸べる。そこでは、参加者一人ひとりがフラットな立場で関わり合い、自然体のまま共に存在しているのです。
佳奈さんは続けてこう話してくれました。「車椅子をはじめ様々なハンディキャップを抱えた方が諦めずに、自分にもできるんだと、勇気を出して参加して欲しい。私の活動する姿が誰かの一歩踏み出すきっかけになればという想いで活動しています。」
グリーンバードをきっかけに現在、佳奈さんはスーパーで車椅子専用カートを導入したり、車椅子ダンスに挑戦するなど、”できること”を日々、増やしています。勿論それは決して簡単なことではなく、私たちには想像できないほどの苦労や努力があって実現したものです。
佳奈さん、ありがとうございました。ごみ拾いは”誰でも”できる社会貢献。この”誰でも”という言葉の定義を、佳奈さんをはじめ福山チームの参加者の皆さんが広げてくれました。
近い未来、日本各地で車椅子をはじめハンディキャップを持った人たちがグリーンバードに参加してくれたら嬉しいです。この日記を読んで頂いた当事者の方はもちろん、身近にそういった方がいましたら是非お声掛けしてみてください。
<終わりに>
こうして第1部、2人のトークセッションが無事に終了しました。どちらも、とても胸がアツくなる内容でした。
ごみを拾うという言葉の解釈は、街をキレイにするだけではありません。誰かにとってはそれが大きなチャレンジだったり、新しくできたこと、人との出会いや繋がりなど、その解釈は様々です。現在、国内外に約70チームが活動していますが、各チームのリーダーや運営メンバー、参加者の方々によって、チームそれぞれの色やカルチャーがつくられています。この2チームだけでなく本当に面白いチームがたくさんありますので、はじめての方も最近ご無沙汰な方も是非、気軽にご参加ください!